等速円運動の位置、速度、加速度

問題

半径$r_0$、速さ$v_0$で等速円運動をしている物体について
以下の問いに答えよ。

(1) 速度ベクトル$\vec{v}$と位置ベクトル$\vec{r}$が直交していることを示せ。

(2) 速度ベクトル$\vec{v}$と加速度ベクトル$\vec{a}$が直交していることを示せ。

(3) 加速度の大きさ$|\vec{a}|$を求めよ。


34-1


解答

直交を示す方法として、$\vec{v}\cdot\vec{r}=0$を示す方法を用いる。
$\vec{r}$と$\vec{v}$のそれぞれをそれ自身と内積を取ると
等速円運動より
\begin{align*}
\vec{r}\cdot\vec{r}&=|\vec{r}||\vec{r}|\cos\theta\\
&=|\vec{r}|^2\cdot1 \qquad \mbox{($\theta=0$より)}\\
&=|\vec{r}|^2\\
&=r_0^2\\
\vec{v}\cdot\vec{v}&=|\vec{v}||\vec{v}|\cos\theta\\
&=|\vec{v}|^2\cdot1 \qquad \mbox{($\theta=0$より)}\\
&=|\vec{v}|^2\\
&=v_0^2
\end{align*}
となる。

(1)
$\vec{r}\cdot\vec{r}=r_0^2$の両辺を$t$で微分すると
\begin{align*}
\frac{\diff}{\diff t}(\vec{r}\cdot\vec{r})=\frac{\diff\vec{r}}{\diff t}\cdot\vec{r}+\vec{r}\cdot\frac{\diff\vec{r}}{\diff t}&=\frac{\diff}{\diff t}(r_0^2)\\
2\vec{r}\cdot\frac{\diff\vec{r}}{\diff t}&=0\\
\vec{r}\cdot\vec{v}&=0
\end{align*}
従って、$\vec{r}$と$\vec{v}$は直交している。

(2)
$\vec{v}\cdot\vec{v}=v_0^2$の両辺を$t$で微分すると
\begin{align*}
\frac{\diff}{\diff t}(\vec{v}\cdot\vec{v})=\frac{\diff\vec{v}}{\diff t}\cdot\vec{v}+\vec{v}\cdot\frac{\diff\vec{v}}{\diff t}&=\frac{\diff}{\diff t}(v_0^2)\\
2\vec{v}\cdot\frac{\diff\vec{v}}{\diff t}&=0\\
\vec{v}\cdot\vec{a}&=0
\end{align*}
従って、$\vec{r}$と$\vec{a}$は直交している。

(3)
$\vec{r}\cdot\vec{v}=0$の両辺を$t$で微分すると
\begin{align*}
\frac{\diff}{\diff t}(\vec{r}\cdot\vec{v})=\frac{\diff\vec{r}}{\diff t}\cdot\vec{v}+\vec{r}\cdot\frac{\diff\vec{v}}{\diff t}&=0\\
\vec{v}\cdot\vec{v}+\vec{r}\cdot\vec{a}&=0\\
v_0^2+\vec{r}\cdot\vec{a}&=0\\
\vec{r}\cdot\vec{a}&=-v_0^2\\
|\vec{r}||\vec{a}|\cos\theta&=-v_0^2\\
|\vec{r}||\vec{a}|\cdot -1&=-v_0^2\qquad \mbox{($\theta=\pi$より)} \\
|\vec{a}|&=\frac{v_0^2}{|\vec{r}|}\\
|\vec{a}|&=\frac{v_0^2}{r_0}
\end{align*}
となる。

ad

関連記事

斜面の摩擦角

問題 水平面上に置かれた粗い板があり、質量$m$の物体が置かれている。 この板を左端$O$を

記事を読む

単振動のエネルギー

問題 滑らかな水平面上にばねと物体が図のように設置されている。 物体の質量を$m$、ばね定数

記事を読む

加速度から速度、変位を求める

問題 $x$軸を運動する質点の加速度が \begin{align*}

記事を読む

固定された滑車の運動

問題 天井に固定された滑車に2つの物体がひもでつながれて運動している。 物体の質量をそれぞれ

記事を読む

斜衝突の運動

問題 質量が等しい2つの質点A, Bがある。 静止しているBに速度$v_0$でAが衝突し、そ

記事を読む

万有引力と重力加速度

問題 質量を持つ2つの物体の間には万有引力が作用する。 このことから地球の重力$mg$を求め

記事を読む

単振り子の運動

問題 質量$m$の物体が長さ$l\ $の糸につるされている。 この物体の単振り子運動について

記事を読む

2次元平面の極座標表示における速度及び加速度を単位ベクトルを使って導出する

2次元平面の極座標表示における速度$\vec{v}=(v_r, v_\theta)$及び加速度$\v

記事を読む

ヤングの実験

問題 ヤングの実験を考える。 図のように、平行な2つの幅の狭いスリット$\math

記事を読む

斜面を滑り降りる運動

問題 摩擦がある水平面となす角 $\theta$ の斜面を質量 $m$ の物体がすべり下り

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ad

ガンマ関数

問題 ガンマ関数$\Gamma (z)$は \begin{eq

偏微分の関係式の導出

問題 以下の関係式を導出せよ。 (1) $\display

球の表面に一様に帯電した球が作る電場

問題 一様な面密度$\sigma$で球表面に帯電した半径$R$の

一様に帯電した球が作る電場

問題 一様な電荷密度$\rho$で帯電した半径$R$の球がある。

無限に長い直線に分布する電荷が作る電場

問題 単位長さあたりの電気量(線密度)が$\rho$である無限に

→もっと見る

PAGE TOP ↑