問題
滑らかな水平面となす角θの摩擦のある粗い斜面に、質量mの物体を置かれ静止している。斜面を左向きの水平方向に加速度αで動かすモデルを考える。
以下の問いに答えよ。但し、静止摩擦係数をμとする。
(1) 物体の運動方程式を記述せよ。
(2) 物体が斜面を滑り出さない為の斜面の加速度αの条件を求めよ。
解答
(1)(2)
斜面の加速度αは小さすぎると物体は斜面に沿って滑り降り、大きすぎれば斜面に沿って滑り上がる。従って、上限と下限を探る必要がある。
滑り降りる場合の限界
物体に作用する力は場の力「重力mg」と接触力「斜面からの抗力R」と慣性力「mα」なり、斜面に固定された座標軸x,yに沿って成分を分解すると図のようになる。
従って、運動方程式は
max=mgsinθ−mαcosθ−fmay=N−mαsinθ−mgcosθ
束縛条件はay=0であり、摩擦力は静止摩擦力f=μNになるので
max=mgsinθ−mαcosθ−μN0=N−mαsinθ−mgcosθ
となる。
よって
max=mgsinθ−mαcosθ−μNN=mαsinθ+mgcosθ
より
max=mgsinθ−mαcosθ−μ(mαsinθ+mgcosθ)
となる。
動かないためにはmax≤0が必要となるので
max=mgsinθ−mαcosθ−μmαsinθ−μmgcosθ≤0−αcosθ−μαsinθ≤μgcosθ−gsinθ−α(cosθ+μsinθ)≤μgcosθ−gsinθα≥−μcosθ+sinθcosθ+μsinθ g
となる。
滑り上がる場合の限界
物体に作用する力は場の力「重力mg」と接触力「斜面からの抗力R」と慣性力「mα」なり、斜面に固定された座標軸x,yに沿って成分を分解すると図のようになる。
従って、運動方程式は
max=mgsinθ−mαcosθ+fmay=N−mαsinθ−mgcosθ
束縛条件はay=0であり、摩擦力は静止摩擦力f=μNになるので
max=mgsinθ−mαcosθ+μN0=N−mαsinθ−mgcosθ
となる。
よって
max=mgsinθ−mαcosθ+μNN=mαsinθ+mgcosθ
より
max=mgsinθ−mαcosθ+μ(mαsinθ+mgcosθ)
となる。
動かないためにはmax≤0が必要となるので
max=mgsinθ−mαcosθ+μmαsinθ+μmgcosθ≤0−αcosθ+μαsinθ≤−μgcosθ−gsinθα(−cosθ+μsinθ)≤−μgcosθ−gsinθα≤−μcosθ−sinθ−cosθ+μsinθ gα≤μcosθ+sinθcosθ−μsinθ g
となる。
斜面の加速度αの条件範囲
斜面の加速度αの条件範囲は
−μcosθ+sinθcosθ+μsinθ g≤α≤μcosθ+sinθcosθ−μsinθ g
となる。