ここから$3$つの「運動方程式から導かれる関係」について解説していきます。
この$3$ 種類の関係式を学び終わった後、運動方程式がいかに力学の中心に位置しているかを実感できるはずです。改めて「力学は運動方程式である」と感じることと思います。(とは言え、「解析力学」になるとエネルギーが主軸に移行します)
物体の運動状態の「量的な大きさ」を表す物理量 $K,\vec{p},\vec{L}$

ニュートンの運動方程式
$$
\begin{aligned}
m \vec{a} = \vec{F}
\end{aligned}
$$
を出発点にすると、力学の様々な重要な関係式を導くことができます。
運動方程式は加速度 (変化率) を与える式です。これを積分することで「変化量」としての物理量が現れます。
ニュートンの運動方程式は、ある瞬間における運動を記述する「局所的な法則」です。
そこから積分を行うことで、運動の全体像を表す「積算された法則」が現れます。
また、物理では「何が時間とともに変化するか」に着目します。
そのため、時間微分の形
$$
\begin{aligned}
\displaystyle \frac{\diff}{\diff t} \Bigl( \quad \quad \Bigr)
\end{aligned}
$$
で表される式の中身は、特に物理的に重要な量であることが多いです。
運動方程式を
- 距離 $\vec{r}$ で積分するか
- 時間 $t$ で積分するか
- 位置ベクトル $\vec{r}$ との外積をとるか
によって次の$3$つの基本関係式が得られます。
距離積分 $\to$ 仕事とエネルギーの関係式
$$
\begin{aligned}
\Delta K = W
\end{aligned}
$$
運動エネルギーの変化 $\Delta K$ は力がした仕事 $W$ に等しい
仕事 $W$ は
$$
\begin{aligned}
W = \int \vec{F} \cdot \diff \vec{r}
\end{aligned}
$$
で定義され、力の距離積分になります。
時間積分 $\to$ 力積と運動量の関係式
$$
\begin{aligned}
\Delta \vec{p} = \vec{I}
\end{aligned}
$$
運動量の変化 $\Delta \vec{p}$ は、力積 $\vec{I}$ に等しい
力積 $\vec{I}$ は
$$
\begin{aligned}
\vec{I} = \int \vec{F} \ \diff t
\end{aligned}
$$
で定義され、力の時間積分になります。
位置ベクトルとの外積 $\to$ モーメントと角運動量の関係式
$$
\begin{aligned}
\frac{\diff \vec{L}}{\diff t} = \vec{M}
\end{aligned}
$$
角運動量 $\vec{L}$ の時間変化 $\displaystyle \frac{\diff \vec{L}}{\diff t}$ は、力のモーメント $\vec{M}$ に等しい。
ここで角運動量 $\vec{L}$ は
$$
\begin{aligned}
\vec{L}=\vec{r} \times \vec{p}
\end{aligned}
$$
で表され、力のモーメント $\vec{M}$ は
$$
\begin{aligned}
\vec{M}=\vec{r} \times \vec{F}
\end{aligned}
$$
で表されます。
この結果は「回転運動の運動方程式」に対応しています。
これらの関係式はすべて独立な法則ではなく、ニュートンの運動方程式を異なる数学操作で表現し直し、物理的意味を見出したものになります。
下図はニュートンの運動方程式に対してどのような「操作」を行うと、どの保存則・関係式導かれるかを表したものです。

これらは一般には「関係式」ですが、力が特定の条件を満たすときには「保存則」となります。
従って、
- 並進運動のエネルギー保存則
- 並進運動の運動量保存則
- 回転運動の基本法則
はすべて、「ニュートンの運動方程式から導かれる結果」であることが分かります。
次は以下の各関係式について解説していきます。
仕事とエネルギーの関係
力積と運動量の関係
モーメントと角運動量の関係