力学の問題を考える手順

「力学の問題を考える手順」について
原則として、この手順に従ってモデルを理解していくことになります。
段々慣れてくると「また、この流れか」なんて感じることでしょう。
しかし、毎回同じ流れで考えるので身につきます。
では手順について見てみましょう。
左側の赤枠は作業の流れが書いてあります。
① 作図
② 軸の設定
③ 力の矢印
④ 運動方程式
の順で作業を進めていきます。
それでは、順に詳しく説明していきます。
① 作図をする
この作業はとても重要です。
力学が苦手な人の多くは「作図ができない」です。
問題となっているモデルの現象を図で表すことができないと、その先のステップに進めません。
適当に公式を覚えたところで理解にはつながりません。
その「モデルがどのような状況であるかの図」を描きましょう。
② 軸の設定をする
続いて、作図したモデル図に座標軸を記入します。
この「軸の向きの設定」によって「正負」が決まります。
軸の設定は、まず「問題文で指定されている場合はそれを利用する」ことをお勧めします。
軸の設定で物理現象自体に変化はないので、問題文通りでなくても出来なくはないですが、面倒なことになります。出題者に逆らっても良いことは無いです。
次に「指定が無い場合は自分で都合が良い方向を正に設定」します。
一般的には「運動の進行方向を正に設定する」と良いことが多いですが、絶対ではありません。
軸はモデルの運動に合わせて $1-3$ 次元まで設定しましょう。
③ 物体に作用する力の矢印を書き込む
前述の「力の探し方」の手順で力を探し出し、「矢印」を書き込みましょう。
矢印を書いた後、「何の力」かが判るように「力の大きさ」も書き加えましょう。
「大きさの正負」については「矢印の向き」で表すので書かない方が良いです。(書くと混乱の元)
④ 運動方程式を軸ごとに立てる
設定した軸の向きに注意しながらの $ma=F$ の $F$ 部分を書き込んでいきます。
「③で記入した力の矢印」が軸に沿っていない場合は「力の矢印」の「成分の分解」が必要になります。
運動方程式は軸が$1$つ(直線運動)なら式は$1$つ、軸が$2$つ(平面運動)なら式は$2$つ、軸が$3$つ(立体運動)なら式は$3$つになります。
運動方程式さえ立ててしまえば「物理の話」としては $8$ 割くらい終わったようなものです。後は必要な物理量を計算によって求めることになります。
運動方程式を立てた後は計算の作業になります。
$$
\begin{aligned}
ma &=F \\
\\
m \frac{\diff v}{\diff t} &= F
\end{aligned}
$$
と式変形できます。
この微分方程式を解けばよいことになります。
ここでは $F=\mbox{const.}$ として、その後の流れを示します。
初学者が扱う多くのモデルは $F$ が一定の運動です。そうでは無いモデルの場合は別途解説しますが、いずれにしても「微分方程式を解く」という作業になります。解き方が変わります。

式を整理して
$$
\begin{aligned}
\frac{\diff v}{\diff t} &= \frac{F}{m} \\
\end{aligned}
$$
両辺 $t$ で積分すると
$$
\begin{aligned}
\int \frac{\diff v}{\diff t}\ \diff t&=\int \frac{F}{m}\ \diff t \\
\\
\int \diff v\ &=\int \frac{F}{m}\ \diff t \\
\\
v &=\frac{F}{m}t +C \quad \ (C:\mbox{積分定数})
\end{aligned}
$$
さらに $t$ で積分すると
$$
\begin{aligned}
v = \frac{\diff x}{\diff t} &=\frac{F}{m}t +C \\
\\
\int \frac{\diff x}{\diff t}\ \diff t &=\int \left (\frac{F}{m}t +C \right) \diff t\\
\\
\int \diff x &= \int \left (\frac{F}{m}t +C \right) \diff t\\
\\
x &= \frac{1}{2}\frac{F}{m}t^2 +Ct+C' \quad \quad \ (C':\mbox{積分定数})
\end{aligned}
$$
となります。この結果は等加速度運動の式と一致します。
積分定数 $C,\ C'$ は初期条件によって決めることができます。
計算によって速度 $v$ や位置 $x$ が求まってしまえば、後は問題で問われている物理量を算出すれば良いということになります。
次は具体的なモデルで実践してみましょう。
次に読む:自由落下・鉛直投げ上げ , さまざまな力が作用するモデル